ひきこもりはなぜ社会問題なのか?

※この記事には「ひきこもりの人を糾弾する意図」はありません。あくまで「ひきこもりが社会問題になるのは何故か?」という問いへの自分なりの答えです。

 

1.ひきこもりは社会問題?個人の問題?

Redditで以下の記事を読みました。

元サブミ:https://www.reddit.com/r/newsokunomoral/comments/8h6oup/ひきこもりの高年齢化_4060歳の初調査へ_内閣府/

ソース元:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180505/k10011427791000.html?utm_int=news_contents_news-main_007

 

私は一通り読んだ所で、一つ疑問が浮かびました。

そもそも「ひきこもりはなんで社会問題と呼ばれているのか?」という点です。

たまーにネット上では「ひきこもりは個人の甘え、親のスネをかじっているだけ」とかそういう論調も見かけますが、個人の問題だったらそもそも社会問題化しないのではないかと思います。

また、社会問題であれば社会全体で解決すべき問題だとも私は思っています。「ひきこもりは病気だから」「汗水垂らして働くことができないから」などのひきこもり攻撃論も見た事がありますが、ひきこもり個人への攻撃は私の意図ではありませんし、そんな事言ってもひきこもり問題の核心には近づけないでしょう。

 

2.ひきこもりって何で問題なの?

まず内閣府のひきこもり調査―― 一言で言えばひきこもり定義の総本山――を当たってみます。

すると「若者の生活に関する調査報告書」というデータに当たりました。

http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/hikikomori/h27/pdf-index.html

これはひきこもりに関する政府調査のレポートであり、題名に「ひきこもり」というワードはないにせよ、立派なひきこもり調査です。

調査目的から見てみます。

社会生活を営む上での困難を有する子供・若者に対する支援を効果的に推進するためには、 これらの者の実態についての調査が不可欠であり、--(中略)--子ども・若者が社会生活を円滑に営む上での困難を有することとなった原因の究明、支援の方法 等に関する必要な調査研究を行うよう努めるものとする。--(中略)--一方で、困難を有 する子供・若者のうち、とりわけ「ひきこもり」状態にある者の状況については、個々の関係機関において網羅的に実態を把握することが困難である。--(中略)--「ひきこもり」に該当する子供・若者の人数やそのきっかけ、必要としている支援内容などについて調査することで、「ひきこもり」を始めとする困難を有する子供・若者への地域支援ネットワーク の形成促進につなげることを目的として実施する。

つまるところ、ひきこもりは

1.社会生活を送るのが困難で

2.その困難(障害)を取り除く支援が必要だが

3.ひきこもりは特に実態を把握するのが難しいので

4.どんな支援が必要なのかを考える為にこの調査を行う

というのが要点です。

ひきこもりの問題点は「本人が社会生活を送るのが困難な状況に陥っている状態の真っ只中だが、更に実態が分かりにくいから支援が難しい」というのが核心のようです。

今思えばちょっと考えれば分かるレベルでしたが、「なぜひきこもりは社会問題なのか」という問いの答えはこれで良いと思います。

 

3.ひきこもりはどうやって社会に影響を与えてるの?

次に、BBCが日本のひきこもりを取材したという事実からBBCの記事に当たってみました。「BBC hikikomori」で検索すると出てきます。

http://www.bbc.com/news/magazine-23182523

呼んでみると「世間体 -sekentei-」や「甘え -amae-」などの日本特有の風習に触れながら「ひきこもりって何?」という問いかけをする記事でした。学校に行けなくなった人や精神的に不安定になる、また関連してフリーターなどの問題に触れており、社会との関わりの希薄化や本人の精神的な問題について触れています。

・教育機会の消失

・不安や怒りっぽくなるなどの精神的ダメージ→精神疾患の原因

・労働機会の損失

上記辺りを問題にしています。(筆者はTOEIC600点程度でざっと読んだだけなので抜けや読み違いはあるかもしれません。)

正しい教育が受けられず、精神的に不安定になり、労働する事が出来ない。この3点が揃うと大問題になるのが分かります。

日本国憲法の「25条:健康な生活を営む権利」「26条:教育を受ける権利(受けさせる義務)」「27条:勤労の権利と義務」を侵されている状態です。

個人的な推論ですと以下の点が問題になるでしょう。

・教育を受けられない→(仕事や学問・研究などの)人材レベルの低下

・精神疾患の原因→病人の増加。社会保障費の増加および労働者の減少

・労働機会の損失→人手不足

奇しくも今の日本社会が直面している問題にぴったり当てはまっています。社会問題は複合原因ですのでひきこもり問題解決→日本ハッピーには直結しませんが、日本社会の問題の一端であることは否定できないでしょう。

「人手不足だから外国人を」「人材の教育(能力)が足りていないから優秀な人材をスカウトだ」などと世間では言われていますが、先ず隗より始めよとはいかないものでしょうか。